

New 2007年3月 JH3VSR 山田 悦三
は じ め に
製作の基本理念は、ホームセンターで購入可能な市販の材料を使い、軽くて使いよい雲台を作る事です。
このため、厚みの薄い材料を重ね合わせ、力の掛かる部分にトラス構造を用いるなど強度と軽量が両立
するように工夫しました。また、デジスコは組み合わせ機種により重心点が異なるため、重心の調節部
を設けて汎用性を持たせました。
ここでは、ジンバル型雲台の原理やしくみ等の難しい説明を省き、製作過程を写真やイラストを交えて
紹介します。
2004年5月製作1号機の写真@ 2004年11月製作2号機の写真@ 2004年12月製作3号機@の写真
2004年5月製作1号機の写真A 2004年11月製作2号機の写真A 2004年12月製作3号機Aの写真
2004年12月19日、和歌山県の長谷さんが3号機にTSN-824をセットしてテスト中の写真
2005年3月12日、大口径デジスコに対応した強化型ジンバル型雲台を製作
New2007年3月3日、ビクセンポルタ経緯台とボーグ経緯台を合体してジンバル雲台を製作。
2号機は、たーぼ♪さんと行くケアンズ野鳥撮影ツアー参加を機会に旅行用として新しく作りました。
雲台を作る材料
アルミ帯板:厚み3o、幅30mm、長さ1m、2本
塩ビ板:厚み5o、幅40mm、長さ80mm、1枚
飾りナット型番 R-67: 飾りナット六角ニッケルM6×12、2個
*飾りナットメーカー名:潟c潟Mン
ステンレス六角ボルト:M6×10mm、2本
ステンレス鍋頭ビス:M3×8mm、14本
ステンレス皿頭ビス:M3×6mm、4本
ステンレス平ワッシャー:M6、2個
ステンレス平ワッシャー:M3、14個
ステンレススプリングワッシャーM6、2個
ステンレススプリングワッシャーM3、14個
上記材料はホームセンターで入手可能です。(材料費約2,000円)
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工作に必要な道具
金鋸、板金折り曲げ機又はバイス、ハンマー、電気ドリル(ドリルスタンドが必要)又はボール盤、
ネジ切りタップ(M3,1/4in)、ヤスリ、紙ペーパー、グラインダー、スパナ、ドライバー、ポンチ等 |
ジンバル雲台の仕上がり寸法(単位=mm)
注意:折り曲げ寸法と仕上がり寸法に差が出ます。これは、曲げ方にもよりますがアルミ板を曲げる
と外側が伸びるからです。私の曲げ方では数ミリの差が出ます。
仕上がり寸法図を開く
アルミ帯板の切断と折り曲げ寸法
アルミ帯板の切断には金鋸を使いますが、バイスなどで挟む時はアルミ板に傷が付かないように両側に
厚紙を挟む等の注意が必要です。穴あけ加工は折り曲げ後に行います。また、折り曲げ位置の内側にカ
ッターナイフ等でケガキを入れます。(注意:外側だとヒビ割れが起きます)
アルミ帯板の切断と折り曲げ寸法図を開く 切断後の写真
アルミ帯板の折り曲げ方
アルミ帯板を正確に折り曲げるには折り曲げ工具が必要です。大型のバイスを使いハンマーで叩いて曲
げる事も可能ですが、アルミ板を直接叩かずに傷が付かないように当板をするなどの工夫が必要です。
折り曲げ時の注意:折り曲げ機やバイスに対して直角にセットして曲げる事が肝要です。
折り曲げ機を使ってアルミ帯板を曲げる様子 折り曲げが終わったアルミ帯板
(折り曲げ機を購入しなくとも少し工夫をすれば簡単な折り曲げ治具が作れると思います。)
板金折り曲げ機の販売元:ホーザン株式会社のページへ
穴あけ加工:ボール盤又は電気ドリル(ドリルスタンドを使用)
折り曲げ作業が終わったら、現物に合わせて穴あけ加工を行ないますが、順番があります。
1)主アーム(外アーム・内アーム)の加工 仕上がり寸法図
@折り曲げが終わったら外アームと内アームを重ね合わせて垂直や歪み等を調整後、外アームに結合
用ネジ穴の位置(底部4箇所、側部6箇所)をマークし、ポンチを打ちます。
A内アームと外アームの底部を重ね合わせクランプ等で動かないように固定し、 M3タップ用に2.5mm
の下穴を4箇所あけます。
B外アームにあけた2.5mmの下穴にM3のタップを切り、内アームにあけた2.5mmの穴を3mmに広げます。
穴あけとタップ切りが終わったらバリ取りを行い、もう一度内アームと外アームの組み合わせ、M3
ビスで仮止めします。
C今度は側部6箇所に底部と同様に2.5mmの下穴にあけた後、内アームの下穴にM3のタップを切り、外
アームの下穴を3mmに広げ、バリ取りをした後、再度ビス止めして組み立てます。
D組み立てが終わったら水平な場所に立て、 左右アーム共に底面から150mmの位置へ正確に線を引き
ます。この位置がアームの最上部で下側へ15mmの位置が軸受の中心線となり、アーム横幅の中心線
との交点にポンチを打ち、3mmの下穴をあけます。
Eもう一度分解し、外アームの両側にあけた3mmの下穴を6mmに拡大しますが、出来れば一度に大きい
穴をあけずに4mm、5mmと順番に大きくするのが正確にあけるコツです。今度は内アーム両側にあけ
た3mmの下穴を同じ要領で9mmに拡大します。
F穴あけ、タップ切りが終わればバリ取りをした後、外アームと内アームを組み立ててビス止めをし
ます。次にアーム上端を可動アーム型紙の半円部分を使って縁取りをした後、てグラインダーやヤ
スリを使って丸く仕上げます。
G出来上がったアームの底面中央に三脚取り付け用のネジ穴をあけます。5mmの下穴をあけ、1/4イン
チのタップを切ります。以上で主アームが完成です。
2)可動アーム(左右アームと連結アーム)の加工可動アーム型紙図を参照
@可動アームはネジ穴の数が多いので厚紙を用意して型紙図を参考に型紙を作ります。
A型紙が出来れば、アルミ板にセロテープ等で動かないように固定してマークの上からポンチを打ち
ます。
B左右のアームにポンチ穴があいたら、ポンチ穴からずれないように2.5mmの下穴をあけます。
C次に軸受け穴を9mmに拡大しますが、一度に大きな穴をあけずに順番に拡大します。
D9mmの軸受け穴の片方に12mmくらいのドリルを使い、穴の入り口を少しテーパー状に削ります。これ
は、ここに入る飾りネジの根元が丸くアール状なっているので当らないようにするためです。
E次に、軸受けスペーサー固定用穴にM3のタップを切ります。タップを切る時は、潤滑油を付けると
滑らかに切れます。 次に重心調節用穴を3mmの穴に開け直します。
F最後に主アームと同様に上部を丸く仕上げます。
G今度は連結アームの穴あけを行います。可動アーム型紙の調節穴に合わせ、連結部分に2.5mmの下穴
を4箇所づつと中央にスコープ取り付け用穴を1箇所あけますが、中央の1箇所は6.5mmに広げます。
垂直部分の両側8箇所にM3のタップを切ります。バリ取りをして綺麗に仕上げた後、 左右の可動ア
ームとM3ビスで固定します。以上で可動アームが完成です。可動アームに重心調節部を持たない専
用の場合、後述の重心の調べ方を参考に可動アームの寸法を決めます。
軸受部の加工と組み立て
先ず、軸受部分の構造をご覧ください。拡大図参照 ジンバル雲台の製作の中で一番大事な部分です。
軸受部に隙間や遊び等のガタが有れば、適度のトルクを掛けた場合に必ずトルクの掛からない遊びの部
分が出来て使い物になりません。私が軸受けに選んだ部品は、木製ラック等に用いる飾りナットと加工
がし易い塩ビ板です。
飾りナット写真 塩ビ板スペーサー加工図1参照 塩ビ板スペーサー加工図2参照
1)塩ビ板スペーサーの加工
加工図1のようにホルソーを使って厚さ5mmの塩ビ板から円盤を作ります。直径32mmのホルソーを使うと
外径が約28mmの円盤が出来ます。今回使ったホルソーは100円均一で買った安物ですが結構使えます。
円盤が出来たら加工図2の寸法に合わせ、 スペーサーを可動アームに固定する皿ビス用のネジ穴を加工
します。このネジ穴は先ず、3mmの穴をあけその後に皿ビスの頭が入る部分を6.5mmのキリで加工します
。 次にスペーサー中央のホルソー芯穴を8mmのドリルで広げ、(加工図2の*1の部分) 飾りナットの
パイプ部分が入るようにヤスリやリーマーを使って拡大加工しますが、飾りナットとスペーサーの隙間
がゼロになるように加工します。少しでもガタ(隙間)があれば使えないので、油を注して少し硬めに
押し込むのがコツです。
2)組み立て拡大図参照
先ず、スペーサーを可動アームにM3の皿ビス用いて固定します。次に拡大図のように飾りナットと六角
ボルトで両側から締め付けて軸方向の遊びを調べます。
可動アーム、スペーサー、内アームを重ねた厚みが約11mmですが、飾りナットのパイプ部分が約12mmあ
ります。このため、先端を少しヤスリ等で削り取りますが、作業は少しずつ丁寧に行ないます。
片方の軸受は、軽く動くように少し長めに、反対側の軸受は締め付ける必要があるので少し短めにしま
す。削りすぎて動きが硬くなった場合は、ペーサーをペーパーで少し削る(均一に)と良いでしょう。
この雲台では、軸受を締め付ける力により雲台を動かす力を調節します。軽すぎると風などで勝手に動
く事があるので好みに合った適度の硬さに調整します。最後に汚れやゴミを拭き取り、可動部に潤滑油
を注して完成です。 アルミに簡易塗装をすると上手く定着せず、当り傷などで剥がれる事が多いので、
あえて塗装をしていません。
完成図と少し異なりますが、この記事のモデルとなった雲台です。
バランス調整と取り付け方
1)前後バランスの調整方法 前後バランス点の調べ方イラストを参照
イラストのようにスコープにバランスプレート、デジカメ、照準器、レリーズ等をフル装備します。
先ず、この状態で前後のバランス点を求めますが、スコープを上下逆さにし、バランスプレートの三脚
ネジ穴付近をドライバーのシャフト部等で持ち支え、バランスプレートが水平を保つ位置を求めます。
2)重心の調べ方 重心の調べ方イラストを参照
イラストのように、アルミ板などで作ったL字金具を使ってデジスコの重心を求めます。先に求めた前後
のバランス位置にL字金具を固定し、ドライバーの先などの鋭利な物で持ち上げてL字金具が水平にな
るポイントを求めます。このポイントがデジスコの重心なので、スコープの取り付け位置からこのポイ
ントまでの長さを測ります。
3)取り付け位置の調節方法
1)の方法により、前後のバランスを取った後、ジンバル雲台の連結アームへ取り付けますが、重心の
調節が必要です。2)の方法で重心を測定した場合は、その長さに連結アームの取り付け位置を調節し
ます。5mmくらいの差は大きく影響しませんが、正確に調節する場合は、バランスプレートと連結アーム
の間に適当な厚みのスペーサーを入れて高さを調節すると良いでしょう。
また、2)の方法を使わずにセットするには、連結アームの取り付け位置を中間にセットしてデジスコ
を取り付けます。次に軸受の締め付けネジを緩め、フリー状態にします。
@重心と軸受の中心が合ってる場合、(イラスト参照)上下角度をどのように変えても、手を離せばそ
の位置で静止します。
A重心が軸受の中心より低い場合、(イラスト参照)上下角度を変えても直ぐに水平方向へ戻リます。
この場合は、連結アームの取り付け位置を上げます。
B重心が軸受の中心より高い場合、(イラスト参照)水平から少し角度を上下に変えると上向き又は下
向きの状態で止まります。この場合は連結アームの取り付け位置を下げます。
三脚とジンバル型雲台の取り付けについて
私は、ベルボンのネオカルマ−ニュ640型三脚を使っています。 当初、3ウェイ雲台の上にジンバル型
雲台を取り付けて使ってましたが、この3ウェイ雲台は水平方向の回転が重くて使いづらいので取り外
しました。替わりに雲台の脱着が簡単なクイックシューを介してエレベータパイプの台座に取り付けて
います。水平方向の回転は、このエレベータパイプが軽く回転する程度にロックノブを緩めて使ってい
ます。これにより、特別な回転機構や他の雲台を利用するよりも軽量でスムーズな動きを確保出来てい
ます。但し、雲台を固定する台座が回転しない三脚の場合は、カメラ雲台などの上に取り付ける必要が
あります。
お わ り に
長い説明になりましたが、ジンバル型雲台を使ってみたい、作ってみたい方の参考になれば幸いです。
また、この製作例にとらわれず、皆さんのアイデアを盛り込んでより良い雲台を作ってください。
2005年1月14日 ブレーキを追加しました。ブレーキ追加のページへ
JH3VSR 山田 悦三
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